コラム~三代目の挑戦~
2016.05.11 UP
束田さんコラム「輝いては消える生地の光沢、ミクロの世界」
今回は弊社の企画業務を担当している女性社員・束田にコラムを執筆してもらいました。
はじめまして、企画業務担当の束田です。
会社に入ってまずは資材手配に携わり、フォーマルバッグのことを詳しく学んだ上で現在は企画をさせて頂いています。企画や女性らしい視点から話題を提供させて頂きたいと思います、よろしくお願いします。
ぜひ一緒に黒とフォーマルに関してマニアックになりましょう!!
さて、私たちが普段扱う生地は、当たり前ですが黒一色です。
会社に入りたての頃は無地の黒はどれも同じに見えていたものですが、今では一度見た黒の生地はほぼ忘れず覚えていられるようになりました。
みなさま、フォーマルの黒がなぜ特別かご存知ですか?
カジュアルでも人気の高い黒の色ですが、通常の黒とフォーマルの黒では比べてみると黒の色の深さが違います。素材によりますが通常サテン生地の黒は染まりにくく、一見黒に見えている黒も、フォーマルの黒の横に並べるとグレーに見えることがあります。
フォーマルの黒はどこまでも深く、どこまでも黒いのです。
かといってベタっと塗られた黒ではなく、どことなく光沢があり、艶もあります。
なぜこのようなことができるかというと、秘密は糸にあります。フォーマルの黒い生地の糸の多くには、絹に似た優雅な光沢・やわらかい手触りから高級なシルキー素材として知られている「トリアセテート」という繊維を使用しています。
繊維は肉眼ではなかなか見ることが出来ませんが、それぞれの特徴によって形状が異なります。トリアセテートに関しては断面が菊花状になっており、当たった光が乱反射することで深い色が生み出されます。
繊維の肉眼で見ることのできないほど小さい乱反射の積み重ねが繊細で絶妙な光沢を生んでいるとは、驚きです。
アセテート繊維(標準)の断面
これから黒のものをお探しの際は、ぜひ黒の艶と深さを見比べてみてください。
素材やお持ちになるシチュエーションに合わせて、黒の違いを楽しむのもいいですね。
=参考:三菱レーヨン㈱HP 製品情報ミニ知識集=